リスケを理解するQ&A

Q1:「リスケ(条件変更)って、本当に認めてもらえるの?」

A:はい、きちんと準備して申し出れば、銀行は柔軟に応じてくれます。当社のこれまでの実績では、95%以上のケースで返済猶予が認められています。
ただし、重要なのは「リスケ(条件変更)が認められること」と「リスケという選択が成功だった」といえることは全く別のことであるということです。


Q2:「元金の一部だけでも返済を続けた方がいい?」

A:一見、誠意を見せるために「半額だけでも返します」と言いたくなりますが、それは逆効果になることが多々あります。リスケ(条件変更)交渉では、最初から元金ゼロの提案で話を進めることが重要です。

なぜなら、「半分返してみたけどやっぱり無理でした」と後から再交渉するのは、銀行側にとっても信頼感が下がるからです。条件変更した上に、何度も返済額を上げたり下げたりでは、経営者として重要な能力である計画性が欠如していると思われ回収不能と判断される可能性があります。
※最初にしっかり見通しを立て、事業計画書を持参し「今はゼロにしなければ再建できない」という説明をしましょう。


Q3:「リスケ(条件変更)した企業を銀行はどうみているの?」

A:リスケを申し出るということは、「経営が苦しい状態にある」と銀行も理解しています。もちろん、貸したお金を計画通り返さないという申し出となりますので、マイナス評価は避けられません。しかし、リスケ=即NGと決めつけているわけではありません。

むしろ銀行が注目するのは、
「この会社は、どう立て直そうとしているのか」
「その計画に現実性はあるのか」
という未来への行動と姿勢です。

ですから、リスケ(条件変更)自体よりも「その後どうするか」を示すことが、信用維持のカギになります。


②「誠実さ」と「説明力」が評価のポイント

銀行は、経営者の「誠実さ」と「計画の具体性」をとても重視します。
・逃げずに定期的に状況を説明する
・都合の悪いことも正直に話す
・改善に向けた努力を継続している

こうした姿勢は、銀行にとって大きな安心材料になります。
逆に、連絡を無視したり、情報を隠したり、定期的に経営状況の報告をしなかったり、口だけで行動が伴わない、事業計画書もなく、
いい加減な態度をとると「信用できない」と判断され、将来の融資に悪影響を及ぼします。

※口頭だけの説明で信用を得ることは難しく、経営改善計画書を紙で提出することが重要です。


③リスケ(条件変更)は「一時的な赤信号」、再建できれば再評価される

リスケ中は、信用情報上も「要注意先」や「延滞先」などの区分に入ることが多く、新規融資の可能性はほとんどありません。
しかし、リスケ期間中に黒字化・債務改善が進めば、区分は見直され、再び融資対象となる可能性があります。

再建に必要なのは経営改善計画書をもとにした予実管理と計画経営です。


Q4:「周囲に知られたら、信用を失うのでは?」

A:ご安心ください。
リスケはあくまで銀行との個別契約です。
銀行には守秘義務があり、取引先や周囲の人に知られることはありません。社長ご自身がうっかり話してしまわない限り、秘密は守られます。

むしろ、本当に信用を失うのは「手を打たずに倒れてしまうこと」です。静かに、確実に立て直すための一歩として、リスケは立派な経営判断です。


Q5:「銀行にはどう話せばいいの?怒られない?」

A:大丈夫です。銀行員は日々、さまざまな相談に対応しています。
リスケ(条件変更)の申し出も決して珍しいことではありません。

まずは電話で「ご相談したいことがあるので、お時間をいただけませんか」と伝えてください。その一言で銀行側もおおよその察しはつきます。そして面談時には、「どんな対策を講じ、どうやって再建を目指すのか」現実的な再建計画を持参し、整理して伝えることが、何よりも大切です。


Q6:「社長の報酬も減らす必要があるの?」

A:はい、これは避けて通れない部分です。
銀行側から見ると、「返済を待ってほしい」と言いながら、自分だけ高い報酬を取っている社長には納得できません。

ただし、生活に必要な最低限の額までは認められます。
家族がいる方であれば、月30万円程度の生活費は十分に常識的な範囲です。


Q7:「リスケ(条件変更)をしたら、もうどこからも借りられなくなる?」

A:リスケ期間中は、新たな融資を受けれる可能性はほとんどありません。
これは「今ある借金すら返せないのに、新たな貸付はできない」という金融の原則によるものです。

でも、だからといって未来永劫借りられないわけではありません。
黒字が定着し、財務内容が改善されれば、再び銀行からの融資は可能になります。

実際、リスケを経て黒字回復し、再び信用を得ている企業も少なくありません。


最後に

経営において最も苦しいのは、「手詰まり」と感じる状況です。
でも、その苦しさを抱えたまま放置するよりも、「どうすれば立て直せるか」を考える方が何倍も前向きです。

リスケは、会社を守り、再起するための正当な手段です。恥ずかしいことではありません。逃げではなく、「守りから攻めへ転じる第一歩」なのです。

どうか、今の苦しさを一人で抱え込まず、専門家と一緒に乗り越えていきましょう。