A:はい、もちろん嫌がられます(本音では)。銀行にとっても担当者にとっても何もいいことはありませんから。しかし、倒産して0円回収となるより、最大回収を図る銀行の経営事情とコロナ禍による社会的事情により、現在であれば、比較的容易に、リスケを銀行から受けることができます。
その企業や社長と銀行との信頼関係にもよりますが、適正な手続きを踏めば銀行から拒否されることは少ないでしょう。
しかし、とりあえずリスケはあまり意味がありません。
なぜなら、リスケしている期間で回復できるかどうかが重要だからです。手ぶらでいって「リスケは認められました。」そして、「3か月後元通りに返済が開始しました」では、多くの会社にとって大きな意味をもたないはずです。
数年間もしくは数十年かけて痛んだ会社の経営と財務が数カ月で回復するとは考えにくいからです。そのため、リスケ(リスケジュールは)、継続(連続)リスケによる会社の立て直しが基本となります。
半年から1年程度ごとの更新制となっており、この更新継続を勝ち取れるかどうかが非常に重要になってきます。そのため、できるだけ早期に経営改善計画を提出し、金融機関の納得を得ることが不可欠です。この計画書の提出がない場合は、銀行はリスケの更新どころか、融資の回収に動き出す可能性で出てきますので注意が必要です。もし、現在、経営改善計画書なしにリスケをした社長は、自分が深刻な状態に置かれていることに気づく必要があるでしょう。
「比較的容易に、リスケを銀行から受けることができます」と書きましたが、厳密には、リスケには、比較的受け入れやすいタイプの銀行と、受け入れにくいタイプの銀行があることも知っておいてください。
規模の小さな地方銀行や信用金庫や信用組合は、中小零細企業が主たる取引先であり、大きな銀行に比べて中小零細企業を大事にしてくれます。地域金融機関では、設立の趣旨に「中小零細企業の発展に寄与することを使命とする」という内容が含まれているため、メガバンクや地方大手銀行より、中小零細企業を守ろうとする姿勢が明らかです。
反対に、リスケを受け入れにくい銀行としてはメガバンクが挙げられます。中小はその他大勢の取引先に過ぎないから。あまり大きな関心がなく時間もとりたくないという本音が見え隠れします。そもそも、働いている人に人件費が高額であり、わずかな金利等に時間をかけると赤字になってしまうという事情もあり積極的に中小企業を支援するイメージが少ないのが実情です。
POINT!
① リスケは本音では嫌がられているけど、信頼関係があり、正式な手続きを踏めば認められる可能性が高い
② リスケは1回認められたからといって大きな意味はない。会社が回復するまでの間、継続して認められる継続(連続)リスケに意味がある
③ 継続リスケを実現させるには、経営改善計画書が不可欠。この段階での、口頭だけで「頑張ります」は不信のもと。
④ 金融機関によってリスケは認めてくれやすいところとそうでないところがある。そうでないところを想定して、経営改善計画書を作成してリスケに臨むのがセオリー。
福岡県福岡市早良区の税理士事務所
福岡県福岡市早良区の行政書士事務所
鹿田税理士行政書士事務所
鹿田知倫
(保有資格)
税理士(北部九州税理士会所属)
行政書士(福岡県行政書士会所属)
経済産業省認定「経営革新等支援機関」